2008年4月16日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その44


近所の姉さんが東京タワーを10本買ったというので、ウチに2本を置いていきました。開けるまで何が出るかわからない例のパッケージで、ぜんぶで10種類あって、そのうち4種類はLEDつきで、ピカーとライティングされるのです。びっくりするくらい精巧で、しかもライトがつくとホントにきれい。こいつァいい。

1本600えんするんだって。

ひと月分の食費をかなぐり捨てて、東京タワー10本。

じつに男らしい。



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ウオノメにも涙さんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。



Q: ハムスターはなんであんなに丸いのですか?餅なのですか?



のっけから話をずらして恐縮ですが、僕こういう人すごく好きです。非常に正しい思考回路を持っているとおもいます。いずれ大きく名を成すにちがいありません。がんばってください。

それはそれとして、あんなふさふさしたモチがあってたまるかとぷりぷりしながら、手のひらにころころと乗っかっているイメージをずっと頭に浮かべていたら、たしかにつきたてのモチみたいな気もしてきました。ふしぎなものですね。するとあのふさふさはカビか?

とはいえ仮にモチだとしても、ハムスターがまるい理由にはたぶんなりません。すべてのモチがすべからくまるいわけではないからです。ではなぜモチはまるくなるのか?人が手のひらでころころと丸めるからです。

いま思い出したんだけど、昔のお産というのは、産婆さんが赤ちゃんのやわらかい頭を産道のなかでこねて細くし(!)、通りやすくしてからスルスルと取り出し、しかるのちまだやわらかいままの頭を再度丸く整えていた、という話を聞いたことがあります。切開という手段がまだなかったころの話です。そんな月面宙返り的テクニックが事実かどうかはともかくとして、たぶんハムスターもそんな感じでだれかに丸められているんじゃないかと僕は踏んでいます。

問題はその役割をいったい誰が担っているのか、ということですが、だいたい僕らは地球にはびこるすべての人間とその職業をちくいち把握しているわけではありません。ただその存在を知らないというだけで、わりとふつうに職業として成り立っている可能性も大いにあり得るのです。いまどき詩人なんてどこにいるんだよとみんな思うだろうけど、じっさいここにいるわけだし、マンションの4階に住むちょびヒゲのおじさんがじつはハムスター丸めを生業としていたってぜんぜんおかしくない。

なんとなくだけど、背はちょっと低めがいいとおもいます。あと、そうですね、仮に名前を藤吉郎としましょう。全国津々浦々に3000人くらい、ちょびヒゲを生やした背の低い藤吉郎が軒下で来る日も来る日もハムスター丸めに明け暮れているのです。頑固な和菓子職人みたいなものだと考えてください。そうして精魂こめて丸められたできたてほやほやのハムスターが、まだ夜も明けきらぬうちからまた全国各地へと長距離トラックにのって運ばれていきます。

「あんまり力をこめると、固くなっちゃうんだ。肩の力を抜いて、ふわっと包みこむように丸めていく。そうしないと、あのやわらかさには絶対にならないんだよ。ハムスターってのは奥がふかくてね、もう40年やってるけど、満足のいく仕上がりになったのは数えるくらいしかないな。太閤に追いつこうとおもったら、あと30年はかかるだろうね」と茅ヶ崎の藤吉郎さんは語ります。太閤というのは昭和初期に、山で襲いかかってきたツキノワグマをその手でふんわり丸めてしまった逸話をもつ、伝説のハムスター丸め職人、国府田藤吉郎さんのことです。

ハムスターの可愛らしさの裏には、そんな職人たちの苦労とプライドがかくされていたんですね。

NHKプレゼンツ「日本の手仕事」、次週は口内炎撲滅に命をかける、特命軟膏チームのお話です。おたのしみに!



A: 全国3000人の藤吉郎が丹精こめて丸めています。



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しかしこういうことを真剣に書いていると、ホントにだいじなことを忘れるんですよね、すっぽりと。たしか何かあった気がするんだけど、だめだ。忘れてしまった。



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その45につづく!

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