新鮮グミさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)幕末に大暴れした浪士たちのおやつですね。
Q. 先日、バーで初めてお会いした男性とお話しした内容です。
しっくりくる表現を探し求めて私や友だち、バーテンダーも巻き込んで4人で考え込んだのですが、お力添えをいただきたくメールしました。
その男性自身も飲食店店主をされていて、そのお店に元交際相手の女性が男性を伴って来店するそうです。
私は女性は見せつけたい気持ちで来店していると思ったのですが、連れの男性も顔見知りで男女の仲を見せつけるようなことでは無いそうです。
店主は最初『なめくじに塩を振るような女性だな』と思ったそうです。意味としては“する必要のない事をする“だそうです。
でも、なめくじは塩をかけないと流しに流しただけではゴミ受けから這い出してくるので“必要のない事”ではないのです。それを言うなら『蟻の巣に砂を入れる小学生』じゃないですかと返すと。
「んー。もっと女性は良かれと思ってやってる感じ」と。
『雨の日に両手とも荷物持ってて、口に駐車券まで咥えてるのに傘を貸してくれる人』
『珍しくて喜ぶだろうと6千円のお釣りを二千円札3枚でくれる店員』
『居酒屋で同席者に聞かずに唐揚げにレモンを絞る女』
という例えが出たところで、時間も時間でお開きになりました。
当の店主は帰宅してしまったので、結局のところこれ以上しっくりくる表現の正解は分からないのですが、この表現を考えるのが楽しくなってしまいました。
長くなりましたが質問です。
他に何かありますか?
あまりにおもしろい話だったので、最後の一行までこれが質問箱宛であることに気づきませんでした。ちょっとした集まりでいっしょに考えてみたくなる、こういう話はいいですね。びっくり箱みたいにたのしい質問をありがとう!
いい具合に焦点がシフトしていく話の流れもさることながら、僕としてはなぜそこがそんなに気になるのか、という点にもそそられます。そこが、というのはつまり、元カノである女性の行動が、ですね。
意図が込められている可能性はもちろん、大いにあります。ありますが、じつは全然ない可能性もあるのです。ただ単に近しい人が営む気安い店をときどき訪ねているだけかもしれません。
連れの男性も店主の知人である点も見逃せません。というのも、とくに何の意図もないことを示すのにこれ以上最適な相手もないからです。考えられる他の連れとしては知人女性、初見の女性、初見の男性の3パターンになるとおもいますが、これらはどれも知人男性とくらべて何らかの意図を勘ぐられる余地が明らかに広くなります。なりませんか?
そして単なる友人として馴染みの店を訪ねているだけの場合、なぜという疑問はそのまま店主に跳ね返ります。なんとなれば、彼らがれっきとした客である以上、する必要も何も店にとっては明らかにプラスで意味があるはずだからです。その点からすると「良かれとおもってるかんじ」もそりゃそうだろうと言わざるを得ません。だってお客さんなんだもの。
したがって僕としては、ある種ウィンウィンの関係と言えなくもないにもかかわらず「する必要がない」と感じてしまう店主のナイーブな心の動きにむしろ興味が湧きます。湧きますが、客観的には僕みたいな人がその場にいなくてよかったです。ほんとに。
*前置きおわり*
さて回答ですが、そういえば僕は「する必要のないことをする」にかけては右に出る者のない権威中の権威を1人知っています。日ごろから返しようのない一言や返しようのない画像を良かれとムダに送りつけてくる安田タイル工業の専務です。
事例1
事例2
事例3
「安田タイル工業の専務みたいなやつ」はもう、これ以上ないくらいぴったりだと僕自身はおもいますが、しかしそれに腹を抱えて笑うのも僕ひとりなので、断腸の思いで別の表現を考えるなら、そうですね、「用を足したあとトイレットペーパーを三角に折る人」あたりになるでしょうか。
「清掃済」であることを示すしるしをなぜわざわざ偽装するのか、そしてなぜ手を洗う前にそれをするのか、さっぱりわかりませんが、こんなときにはうってつけの例だとおもいます。うちの専務ほどじゃないですけど。
A. 「用を足したあとトイレットペーパーを三角に折るような人」です。
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その304につづく!